米国では議会がSNSのプラットフォーム会社のトップらを呼んで公聴会を開くなどして、SNS上の有害なコンテンツから子供たちを守ろうという声が高まっている▼こうした子供の保護ばかりでなく、インターネットの有害なコンテンツやソーシャルメディア利用、詐欺、サイバー攻撃などから利用者を守る対策の必要性は、日本でも以前からいわれて取り組まれてきている▼しかし、インターネットをはじめとしたデジタルビジネスについては、問題があるので規制しようという政策よりも、新たな社会変革をもたらす重要産業として普及させようという戦略的な政策が勝り、規制強化への動きは鈍い。結局は、利用する側の自衛しかないというのが現状である▼そのため、利用者にはインターネットを使いこなす能力が求められることになる。「インターネットリテラシー」といわれる能力である。パソコンとスマートフォンが普及した現代では、この能力なしには、青少年ばかりでなく大人も安全・安心に生きていけない時代になった▼情報のやりとりだけではなく、いまや金銭のやりとりもネットで多く行うようになった。それに伴い、ネットを利用した新手の詐欺やサイバー攻撃が後を絶たず、被害者も増える一方である。そして、今度は生成AIが登場して新たな不安が広がっている▼その普及によって、何が起こるのか予想もつかない時代になろうとしている。もはや利用者のリテラシーを超えた問題で、行政による規制強化が必要な時代になってきたといえよう▼巨大IT企業が誕生し、巨万の富を持つIT長者を生むだけのIT産業なら、人類全体の繁栄にはつながらない。そろそろバランスは規制の方向に傾ける必要がある。
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