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コラム・素領域

2021年9月17日号

素領域

菅義偉総理が自民党総裁選への出馬を断念したことで、今月末にも新総裁・新総理が誕生することになるが、日本学術会議の会員任命拒否問題については何の結論も出ずに次の政権に移行することになりそうだ。ただ、新総理が改めて6人を任命すれば、この問題は一応の決着をみることになるだろう▼これと並行して動いているのが、学術会議の機能強化についての議論である。自民党PTと学術会議とでは設置形態などで異なる結論が出ているものの、機能を強化すべきだという方向性は一致している。そこで気になるのが来年度予算だが、先日の概算要求で内閣府は前年と同額の9億8500万円という数字を示した。井上担当大臣は「現在行える改革を進めるため」というが、国際活動、情報発信、科学的助言といった機能を強化するというのであれば、増額が当然であるにも関わらず、同額というのは意味がわからない▼概算要求の新規項目には、国際交流・連携のプラットフォームの設置(100万円)、学術研究団体、産業界との連携・交流体制の強化(1200万円)などに加え、国際協力・交流体制の強化のための学術調査員の採用(200万円)、情報発信の高度な専門性を持つ学術調査員の採用(100万円)という項目がある。人件費としてはあまりに少なすぎるため、事務局に確認すると非常勤の日当だという▼山極前会長は「菅さんは科学を軽視し、科学者を無視した」と指摘し、その結果、コロナ対策もうまくいかなかったのではないかという。新総理が誰になるのか、月末には結果が出てくるが、アカデミーの重要性を理解し、真の機能強化に取り組んでほしいものだ。

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