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コラム・素領域

2019年7月26日号

素領域

またまた低い投票率となった参議院議員選挙だが、今回も科学技術政策は争点にはならなかった▼各政党を対象に一般社団法人カセイケンが実施したアンケート調査の結果では、公的研究開発投資は「大幅に増やす」「やや増やす」、公的投資に対する科研費割合は「増加」「現状維持」と各党に違いはなかった。一方で、デュアルユースについては大きく意見が異なる。さらに氷河期時代の任期付き研究員の問題については、多くの党が独自の支援策が必要だとしている。詳細に見れば違いはあるものの、支持政党を持たない人にとっては大きな違いを見いだせないものだ▼選挙の争点の一つである年金問題など、世代間格差と高齢者雇用の問題を科学技術政策に落とし込んでいくと、争点化できそうなものはある。シニア教員の活用という問題だ▼先日、日本学術会議が研究力を強化するためにはシニア教員の活用が一つの方策だという提案を内閣府で披露した。曰く、教育を主に行ったり、学内事務や学会活動を行うことで、若手が研究に集中できる環境を作るというものだ。こうした提案に反対する若手もいる。シニア教員が幅を利かせて、自分たちの邪魔をするのではないかという懸念があるというのだ▼かつて日本学術会議は研究者の直接選挙で会員を選考していたが、様々な経緯を経て、現在の互選制度が導入された。IT技術の進展により、スマホやネット集計などのツールは普及している。これらを活用すれば、直接選挙でなくとも研究者コミュニティの意見を集約することは可能だ。国政選挙に先駆けて、新たな意見集約システムを構築・実施することがイノベーションの担い手に求められている。

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