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コラム・素領域

2019年8月30日号

素領域

政府は自然科学系全体で女性研究者の割合を30%にするという目標を掲げており、ここ数年、日本の女性研究者の数や割合は着実に増加しているが、それでも15・7%と国際的には低い水準にある▼さて、女性を増やそうという議論の際、必ず出てくるのが「女性を増やす」のか、それとも「研究力を最大化するのか」という二項対立の問題提起である。だが、この問題設定は本当に正しいのだろうか▼エルゼビアのジェンダーリポートによると、日本の場合、女性研究者のトップ10%論文割合は9%と男性の8%よりもわずかに高い。また、一人あたりの論文数を見ると、世界では女性よりも男性の方が多いが、日本では男性1・3本に対して、女性1・8本と多い▼日本の特許の経済的価値を日本政策投資銀行と三菱総研が分析したところ、男性だけのチームを100としたときに、男女混合チームは16年時点では144、18年時点で154となっている。つまり、女性を研究チームに加えるだけで、経済的価値を高めている▼数年前、九州大学が女性限定枠で教員公募を実施し、一部には批判も出た。しかし、採用者の実績を見てみると、一人あたりの論文数、トップ10%ジャーナルに掲載された論文数いずれにおいても、九州大学の教員の平均を上回っている(九大教員の平均は日本人平均の数倍)▼これらのデータが示すのは、二項対立ではなく、女性の活用が研究力の強化につながるという事実である。少子高齢化による人口減少で労働力が不足するから女性を活用するという論理がまかり通っているが、日本の競争力強化に必要なのだということを認識し、環境の改善に取り組むべきだ。

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