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コラム・素領域

2019年11月22日号

素領域

グーグルが量子超越を達成したという論文をネイチャーに発表した。これに対して、IBMがそれは量子超越の達成ではないと反論するなど、様々な反応があったが、日本は国際競争の中で生き残れるのだろうか▼グーグルの発表では、自社開発した量子プロセッサ「Sycamore」(53量子ビット)で53ビットの乱数を生成。100万回の乱数を生成させるのに200秒かかった。一方、世界最高速のスパコン「Summit」で量子回路をシミュレートし、同等の計算を実行したところ1万年もの時間がかかると試算した。これにより、古典的コンピューターでは到達できない能力を量子コンピューターが持つことを示す量子超越を実証したという▼もちろん、それを達成したとしても汎用的な量子コンピューターを実現するには、20~30年の時間が必要であり、現在の暗号技術がすぐに破られることにはならないが、株式市場では仮想通貨の株価が急落するなどの影響も出た▼ちまたでは日本が乗り遅れているのではないかと心配する声もあるが、今回の論文の査読者の一人が阪大の藤井教授であり、引用リストの上から3番目に東大の中村教授の論文が引用されている。つまり、研究レベルという点では、日本は国際的な地位を保っている。ただし、実用化では乗り遅れている▼量子暗号通信で日本方式が国際標準となったのは、研究者、政府、企業が一体となって継続的に研究開発から実用化まで取り組んできたからだ。他の量子技術分野でも、同様の取り組みが行える戦略が求められている。

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