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コラム・素領域

2019年10月18日号

素領域

9月23日に、ニューヨークの国連本部に世界の首脳らが集まり「国連気候行動サミット2019」が開催された。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさんが若者代表で演説し、温暖化対策の世界の取り組みに対して怒りをあらわにして訴えた▼その中で、16歳の少女は、あなた方が議論するのはお金や継続的な経済成長のことばかりだと批判した。これに対し、ネットなどでは傲慢な演説だなどの批判もあった▼しかし、テレビのニュースで演説の様子を見ていて、これは大人たちに「どうにかして」と懇願する少女の叫びのように私は思った。仕事して稼いで生計を立てている大人たちには、お金や経済を無視した発言はしにくいものだ▼「よくぞ言ったな」と、少女の訴えに驚き感心する。地球温暖化に関するデータから、その主要因であるCO2の排出量は、先進国であり大国のアメリカや中国、日本、ロシア、ドイツ、韓国などが多いことが明白である▼まず第一に温暖化対策に取り組むべきは、こうした国々である。それなのに、これらの国々でさえ、国連で決めてきた目標を達成できないでいる。そして一方で、AI(人工知能)だ5Gだイノベーションだと騒ぎ、新ビジネス創生、経済発展持続に夢中になっている▼産業界ばかりか、私自身も含め、CO2排出を減らす生活スタイルに積極的、まじめに取り組んでいる個人や家庭が多くいるとは思えない▼しかし、一刻も早く温暖化の進行を止めないと、災害などをはじめとした様々な問題が一層深刻になるであろうことは、年々上昇する気温、過去にない記録的な豪雨や台風などに直面するいま、誰しもが感じていることだ▼今回の少女の叫びにまじめに答えを出さないと、取り返しがつかなくなるのかもしれない。

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