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コラム・素領域

科学新聞の1面に掲載している『素領域』全文と、Web限定コラムをお読みいただけます。

2023年2月3日号 素領域

理研が若手研究者の支援制度を充実させると発表した。スタートアップ経費や研究費、スタッフなど、研究に専念できる環境づくりのための支援とともに、任期なしのポストへのステップアップも可能にしており、今後、優秀な若手が挑戦的な研究に取り組むことで、日本から新たな価値が生まれることが期待される▼理研といえば、任期付き研究者の雇用問題がクローズアップされている。労働契約法改正により、任期付き雇用は5年を上限に…

2023年1月27日号 素領域

世の中の動静を知るのに様々な統計が役立つ。最近では、中国の国家統計局が1月17日に2022年末の人口を発表し、約60年ぶりに前年人口より減少したニュースがテレビや新聞などで大きく報道され、話題になった▼また日本の人口トピックスとして、総務省統計局が今年の干支である卯年生まれの1月1日現在の人口を997万人と発表している。総人口1億2477万人(男性6065万人、女性6412万人)に占める割合は8%…

2023年1月20日号 素領域

世界的な時刻の管理を担っている組織が国際度量衡総会であるが、昨年11月の会議で「うるう秒」の実質的な廃止が決議された▼時間はもともと地球の自転に基づいている。地球が自転し、24時間で1回転するものとして、その8万6400分の1を1秒としている。ところが、自転は潮の満ち引きなどの影響で微妙に変化する。各国の標準時である協定世界時(UTC)は、高精度な原子時計により決められている。うるう秒は、地球の自…

2023年1月13日号 素領域

今年の干支は卯。日本では古くからウサギは身近で古い童謡によく登場し、日本最古の書物「古事記」にも因幡の白兎がでてくる。三内丸山遺跡の縄文時代前期中頃(約5500年前)のごみ捨て場からはノウサギの骨が多くみつかっている▼日本には数種類のウサギが野生で生息しているが、環境省のレッドリスト2020ではニホンノウサギの一種であるエゾノウサギとエゾナキウサギは準絶滅危惧、アマミノクロウサギは絶滅危惧IB類に…

2023年1月1日号 素領域

新年あけましておめでとうございます。昨年も科学技術や学術をめぐる様々なできごとがありましたが、今年も研究コミュニティに役立つ情報の発信に努めていきます▼来年度予算案が閣議決定され、研究費も充実することになったわけですが、一方、年末にいろいろな問題が発生しました。一つは福井大学を中心とする査読不正問題です。ムーンショットプログラムのPMを務める福井大の教授が、千葉大、金沢大、浜松医大の3人からの求め…

2022年12月23日号 素領域

本号は今年の最終号である▼今年を振り返れば3年目となった新型コロナウイルス感染は、収束の見通しが立たないまま、また1年が過ぎ、いまだに不自由、不便な生活をさせられている▼2月にはロシア軍がウクライナに侵攻し、その後戦争は長引き、多くの死傷者を出す悲惨な事態が続いている▼さらに、その影響は世界にも及び、食料やエネルギーの供給が滞り、食料品や電気、燃料の値上げなど、経済にも打撃を与えている。そして、北…

2022年12月16日号 素領域

1969年7月に人類が月面に立ってから半世紀以上が過ぎた現在、米航空宇宙局(NASA)は、人類の月面再着陸を目指す「アルテミス計画」を進めていて、米国を中心に欧州・カナダ・日本などが参加している▼まず第1段階で、新たに開発したロケットを使って、新型宇宙船「オリオン」を無人の状態で打ち上げ、月を周回する試験飛行を予定している。第2段階には、実際に宇宙飛行士を乗せて月を周回する試験飛行を敢行。これは2…

2022年12月9日号 素領域

アイザック・ニュートンは1642年12月25日、クリスマスの日に生まれたが、これは当時イギリスで使われていたユリウス暦の日付であり、現在使われているグレゴリオ暦だと異なるという▼ユリウス暦は紀元前45年からローマのユリウス・カエサルによって導入された太陽暦だ。この暦では4年平均で1年が365・25日となり、1太陽年の365・2422日よりわずかに長く、季節と日付の関係がずれていく。現在はこれを補正…

2022年12月2日号 素領域

日本には、マネジメント人材のプロフェッショナルが少ない。こうした問題意識から始まった研究開発マネージャーの公募は、1機関(JST)の小さな一歩でしかないが、長期的に見れば、アカデミアにおける大きな一歩になるかもしれない▼研究者としての能力とマネジメント能力は異なるにも関わらず、日本の大学では研究者が学長などを務めている。もちろん、両方の能力を兼ね備えている人物もいるため、必ずしも大学経営ができない…

2022年11月25日号 素領域

世界的な半導体不足をきっかけに、台湾の大手半導体メーカーと日本企業による新工場建設や、次世代半導体製造の新会社設立など、日本の半導体産業再興の動きが進んでいる▼国の方でも、文科省の今年度予算で大学や国立研究開発法人を中心に次世代半導体創成拠点を形成する施策が進められたり、経産省の第2次補正予算案で半導体産業の支援に1兆円以上の投資が盛り込まれたりするなど、動きが早まっている▼日本は「産業のコメ」と…

2022年11月18日号 素領域

地球近傍天体に関して興味深い実験が9月末、NASAを中心に行われた▼小惑星に探査機を衝突させて軌道を変えようというものである。地球近傍天体とは、地球に接近する軌道を持つ天体(彗星、小惑星、大きい流星体)の総称である。その中で、特にJAXA小惑星探査機「はやぶさ1」や「同2」により探査が行われた小惑星「イトカワ」や「リュウグウ」などは、宇宙の起源や地球の成り立ちなどを知るための貴重な科学的知見をもた…

2022年11月11日号 素領域

近年、光を利用したがん治療である「光免疫療法」が、「手術」「薬物療法」「放射線療法」「免疫療法」に次ぐ第5のがん治療法として注目されている。2011年に米国国立衛生研究所・国立がん研究所の小林久隆氏らにより初めて報告された▼「光免疫療法(NIR-PIT)」は、がん細胞に発現する抗原に、特定の波長の近赤外光で活性化する化合物を結合した薬剤を投与。同波長の近赤外光を照射することで薬剤が結合したがん細胞…

2022年11月4日号 素領域

東北大の出澤真理教授が発見したMuse細胞は不思議な細胞だ。点滴で全身投与すると疾患部位に到達し、素早く対象の臓器に分化し修復してしまう。研究グループは今回、なぜ、素早く正確に損傷した細胞に分化できるのかという一番重要な疑問に、貪食による因子のリサイクルであると結論づける研究結果を発表した▼Muse細胞を使った治験は、急性心筋梗塞、脳梗塞、表皮水疱症、脊髄損傷など7疾患で行われている。昨年5月には…

2022年10月28日号 素領域

最近、メタバースという言葉を多く聞いたり目にしたりするようになった。調べてみると、インターネット上に構築された3次元の仮想空間の世界のことである▼その仮想世界の中で、自分の分身であるアバターを操作し、現実の世界と同じように活動させることができる。他人のアバターと交流する。ゲームや買い物、観光などができ、土地を買って家を建てることもできる▼機器としてはゴーグルのようなヘッドマウントディスプレイを使用…

2022年10月21日号 素領域

「人生100年時代」という言葉をよく聞くようになった。これを実現している100歳以上の長寿者を「センテナリアン」と呼ぶ。日本では2022年現在、なんと9万人を超えたという。しかも、そのうちの2割に当たる人が自立した生活を送っているそうで、そのことに驚きを覚える▼長寿者には、何か生活の傾向があるのだろうか。日本の大学での研究で、その一端が明らかになってきた。このような人たちの特徴として、認知機能が高…

2022年10月14日号 素領域

今年は残念ながら日本人のノーベル賞受賞はならなかったが、9月に第32回イグ・ノーベル賞の発表があった。同賞はImprobable Research社が主宰し、「人を思わず笑わせ、そして考えさせてくれる」なんらかの研究を行った個人やグループを対象に毎年選考される。受賞者には賞状とトロフィー(PDF:自分で工作)、10兆ジンバブエドルが贈られている。もはや恒例となった感があるが、今年も日本人が受賞。こ…

2022年10月7日号 素領域

岸田文雄首相は2日に京都で開かれたSTSフォーラムで「イノベーションの源泉となる人への投資を含む基礎研究力を強化するとともに、価値観を共有する同志国と連携し、国際頭脳循環を促進します」と話した。研究力の低下が指摘されている中、こうした姿勢を日本のトップが示したことは大きな意義がある▼STSフォーラム(科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム)は、故・尾身幸次・元科学技術政策担当大臣によって200…

2022年9月30日号 素領域

2006年に科学技術・学術政策研究所が「忘れられた科学-数学」を公表してから、数学関連の研究プログラムが立ち上がり、WPIでも数学と他分野の融合拠点ができた。数学協働プログラム、数学アドバンストイノベーションプラットフォームなどで拠点形成も進んだ▼しかし、05~07年と16~18年の数学と数学関連分野の論文数を見ると、世界トップレベルを維持しているものの、各国の伸びが著しく、6位から9位にまで相対…

2022年9月16日号 素領域

インターネットの普及・発展に伴い急速にデジタル化が進む一方で、紙媒体の衰退が激しい。長く親しまれてきた新聞でさえ、今や1世帯当たりの購読部数が0・57部(2021年:日本新聞協会調査データ)という状況だ▼同調査データによれば07年にはまだ1・1部あったが、翌08年には0・98部と1部を切り、以降も減少を続けている。新聞に携わる者として、明るい未来はないのかと寂しい気持ちになってしまう▼しかし、そう…

2022年9月9日号 素領域

誠に残念というより、何か大きな虚しさを感じざるを得ない。米ニューヨークの国連本部で約1カ月にわたって行われていた核不拡散条約(NPT)の再検討会議のことである。一カ国の反対で決裂し、最終文書を採択できなかった。その一カ国とは言わずと知れたロシアのことだ▼ロシアといえば、半年前に、弟分的な国と思っていたウクライナが西側(自由主義国)のNATOに入ろうとしたことから、「気にくわない」と一方的に攻め込ん…

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