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コラム・素領域

2024年1月26日号

素領域

ChatGPTの登場でいま生成AIが注目されているが、AIがサイバーセキュリティにどう影響するかという興味深いレポートが、昨年末の12月に発表された▼グローバルなサイバーセキュリティ企業であるカスペルスキーがまとめた年次レポートの一つ「サイバーセキュリティにおけるAIの影響」で、2024年以降にAIがサイバーセキュリティに与える影響を予測している▼それによると、組織のサイバーセキュリティを強化するために模擬攻撃を行うレッドチームなどのセキュリティ専門家は、革新的なサイバーセキュリティツールに生成AIを活用しており、今後はそうした専門家を補助するAIアシスタントが登場する可能性があるという▼一方で、24年は生成AIがサイバー犯罪に使われ、詐欺画像・動画の生成が目的のニューラルネットワークの使用が増え、より信憑性があるかのごとく見せかける詐欺コンテンツを作ることが可能になるため、サイバー脅威が増大してリスクが高まると見ている▼ただし、サイバー犯罪に生成AIが使われても、サイバー攻撃を防御する側でも生成AIを活用するため、24年のサイバー脅威を取り巻く状況は、AIによって劇的に変わることはないだろうと推測している▼攻撃側と防御側の双方が生成AIを活用するので、脅威が増すとセキュリティも強化されるため状況が大きく変化することはないだろうというのである。その予測が正しければ、生成AIのサイバー犯罪への悪用をそう心配する必要はなさそうだが…▼しかし、現状ではサイバー犯罪の手口は狡猾さを増し、脅威は高まっている。何とか、人類に恩恵をもたらすべき生成AIを悪用できないようにすることはできないのか。AIを超える、人類の大きな英知が必要である。

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