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コラム・素領域

2026年9月18日号

素領域

大学の中には運営費交付金や競争的資金を増額しようとしてはいるのだが、その一方で、ほとんど研究をやらないような教員もいる。「そういう人をどうにかしないと、国民は納得しないのではないか」。先日、ある記者が、北川進京都大学特別教授、坂口志文大阪大学特別栄誉教授に質問した▼こうした話題は、予算を増やそうとするたびに出てくる。税金を使うのだから、ちゃんと研究に取り組む研究者に研究費が配分されるべきだというのは、総論としては正しい。ただし、少数のやる気がない人がいるから全体を増やすのは駄目だというのには論理の飛躍がある▼小中高校の教師が、痴漢や盗撮などで逮捕される事件は度々発生する。しかし、多くの教師は真面目に取り組んでおり、限られた事案をもって初等中等教育予算を減らそうとはならない。実際、教職員調整額などの予算は増えている▼車のハンドルには遊びがあり、そうでないと事故を起こしてしまう。大学という組織も同じだ。「研究に情熱を持てなくなった人が教育や研究支援、経営などで活躍できるような、環境を整えることが大切である」(北川)。「例えば、数学の世界では毎年1本論文を出す人と、10年に1本しか書かないが素晴らしい論文を出す人のどっちに価値があるのかという問題がある。それをどのように評価するのかが重要だ」(坂口)▼人は多くの場合、わかりやすい、あるいは自分が納得しやすい答えがあると、それが正しいものだと認識してしまう。ネット上では、ある答えを出すために事実の側面だけを寄せ集めたような言説が、多く拡散されている。真実を見極めるには、広い視野と確かな自己認識が大切になるだろう。