先日開かれた、研究大学コンソーシアムシンポジウムの中で、山本進一記念賞の授賞式が行われた。記念賞は、京都大学学術研究展開センター（現・総合研究推進本部）、表彰委員会特別賞は、人文・社会科学系ＵＲＡネットワークと、筑波大学研究戦略イニシアティブ推進機構研究マネジメント室に授与された▼いまでは定着しているＵＲＡだが、導入当時は、その役割や位置づけが理解されなかった。故・山本進一博士は、名古屋大学、岡山大学、豊橋技術科学大学等で、研究担当理事等を歴任し、大学における研究開発マネジメントの体制強化、大学の枠をこえて、ＵＲＡをはじめとする研究開発マネジメント人材の育成と地位向上に先駆的に取り組んできた。さらに研究大学コンソーシアム全体会議の初代議長、ＵＲＡスキル認定機構の初代機構長としても活躍した▼記念賞は、山本博士の功績を称えるとともに、各大学等における研究開発マネジメントの実例等を中心に、大学の枠をこえて他大学等にも参考となる好事例およびそのチーム（ＵＲＡや技術職員、研究者、事務職員など）を表彰するものだ▼文部科学省は２０２５年度から研究開発マネジメント人材に関する体制整備事業を開始する。ＵＲＡ等の研究マネジメント人材を育成し安定雇用につなげるとともに、他機関とノウハウを共有し、大学全体のマネジメント力向上につながる取り組みを支援する▼大学の抱える問題は多様で個別的だ。Ａ大学で対応が成功したとしても、同じ方法がＢ大学でうまくいくかどうかはわからない。だからこそ、記念賞で表彰されるような取り組みを実践できる、柔軟な思考と対応力のあるマネジメント人材や組織が求められているのだ。