レアアースの次はオイルである。米国のトランプ政権は核開発を進めているという理由で、イスラエルとともにイランに武力攻撃をしかけている。世界経済は中東のオイル供給がストップして混乱し、中東オイルに依存する世界の国々は米国とイランの和平交渉の先行きを見ているしかない状況だ▼中国がレアアースを取り引き材料にして貿易交渉したり、高市首相の発言をきっかけに日本への対抗措置を強化したりしていると思ったら、今度はイランと米国のオイルをめぐる争いになっている▼資源に恵まれない日本にとっては打開が困難な問題だが、政府は当面はしのげる備蓄があると説明している。中東での紛争で、世界の国々は1970年代に2度のオイルショックを経験した。その結果、オイル備蓄を義務付けるようになった。しかし今度の米国とイランの紛争は、和平交渉の先行きが見通せず、予断を許さない状況だ。同じ問題が繰り返される世界情勢の中で、日本は今後どう対処していったらいいのか▼衰退する経済・産業再生へ向け、科学技術立国として進むしかないと国を挙げた振興策に取り組んできた。しかし、世界の中の日本の科学技術力はランク落ちしている。科学技術予算を拡大して巻き返しをはかっているが改革は道半ばだ。一方で、食料やモノ、エネルギーの大量消費社会は続いている。今回のようにひとたび輸入資源が途絶える事態が生じると窮地に陥る▼そして経済安全保障が叫ばれる。資源やエネルギーも重要だが、自給率の低い食料も心配だ。農水省データによれば令和6年度の日本の自給率は38%(カロリーベース)で、他の先進国よりかなり低い。この先、食料資源をめぐる大混乱がないとは言い切れない。自給率向上にも、もっと真剣に取り組む必要がある。
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