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コラム・素領域

2021年6月11日号

素領域

量子技術の研究開発を進める日本の大手ベンダーなどと、量子技術を自社のサービスなどに利用しようというユーザー企業が集まり、まだ世界のどの国も達成していない量子技術の社会実装を、オールジャパン体制でいち早く実現しようと立ち上がった▼本号で報じている「量子技術による新産業創出協議会」の設立発起人会の話である。量子技術の重要性は国レベルで認識され始めており、日本でも国をあげたイノベーション戦略が進められている▼世界では、米欧中を中心に量子技術を国の重要な戦略に位置づけ、投資を拡充して研究開発に注力しており技術開発が急速に進みつつある。そうした動きに危機感を抱き、日本でも産官学をあげて基礎研究から社会実装まで取り組むイノベーション戦略が昨年から始まった▼今回の設立発起人会に来賓として出席した和泉洋人首相補佐官は、同協議会が政府と連携を深め、量子技術の産業化や事業化を促進する中核として活動することを期待していると、あいさつで述べた▼かつて、1980年代に日本の半導体産業は世界のトップに立ったが、日米半導体摩擦などを経てその後衰退し、関連するコンピューターや通信機器などといったハイテク産業も次第に競争力を失っていった▼このまま次の5GやAI、さらに量子技術で後れをとれば、日本の産業は世界で一層失速し、後退してしまう。その危機感が今回の協議会設立へ向けた動きの背景としてあるように見える▼ほかにあいさつした発起人やオブザーバーらからは、一様に「スピード感をもって」「オールジャパンで」「協創の場として」「日本の競争力強化」などの言葉が聞かれた▼日本が再び「ジャパン・アズ・ナンバーワン」のようになれるよう、産業界の結集に期待したい。

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