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コラム・素領域

2021年6月4日号

素領域

「2050年まで」というからあと30年足らず。世界のエネルギー事情が今とはがらりと様変わりするかもしれない▼何と電気の9割を再生可能エネルギーが担い、化石燃料はほんのわずかのプラスチック製品のみに使われるにとどまるという。これは国際エネルギー機関(IEA)が発表した、世界各国が50年に温室効果ガス排出の実質ゼロを実現するシナリオで明らかとなったことだ。いよいよ脱化石燃料が鮮明になった▼シナリオ実現のため、各国政府が目指すべき400以上の中間目標を掲げている。主なものとして、30年には全ての新築建物を排出ゼロ仕様に。新車販売の60%を電気自動車に。40年にはCCUSなしの石炭火力・石油火力を廃止。50年には全世界の発電の70%を太陽光・風力にする、等々である▼特に今からすぐに取り組むべきこととして、CCUSなしの石炭火力発電所の開発の承認の禁止。新規油田・ガス田・炭鉱開発の禁止をうたっている。CCUSとは、二酸化炭素の回収・利用・貯留技術のことで、発電所や化学工場などから排出される二酸化炭素をほかの気体と分離して集め、地中深くに貯留・圧入するというものだ▼単に禁止と叫ぶのは簡単なことだが、実質が伴わなければ意味がない。今でも化石燃料に頼り、増やしていこうとする国もある。CCUSを世界各国に導入しようとしても簡単ではない。いかに調整していくのか。日本への影響も大きい。経済産業省が試算した50年の電源に占める再生エネルギーの割合は54%程度。この数値との差をどうするのか▼先進国としてオールジャパンで取り組み、実績を示すしかない。

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