最近やたらとスパムメールが多くなった。「オフィスのプロダクトキーが盗まれているので検証してください」と、マイクロソフトを騙ったメールも来る。大変だとばかりに認証などクリックしたら、それこそ大変なことになる▼コンピューターやインターネットなどのセキュリティ企業が公表する最近のセキュリティ調査結果では、ランサムウェア「Ｌｏｃｋｙ」への感染をねらったスパムメールが倍増しているという▼感染するとパソコンなどのファイルが暗号化されてしまい開けなくなり、その回復に金銭支払いを要求するという悪質極まりないスパムメールである▼それだけではない。いま注目を浴びているＩｏＴ機器を感染させて、ＤＤｏＳというサーバへの一斉攻撃をかけるような怖いマルウェアも増加している。多数のＩｏＴ機器を使った分散攻撃で、防御も難しいそうだ▼インターネット、ブロードバンド、モバイル通信の普及で、情報活用の便利さは増すばかりだが、それに伴ってこうしたマルウェアやサイバーテロの脅威が勢いを増す一方である▼科学技術にはリスクが伴うというが、輝かしい未来を描くはずのＩＣＴ社会では、いずれリスクばかりが付きまとう世界になってしまいそうで、何とも憂鬱な思いである▼しかし、サイバーテロによる危機的ともいえるような大きな被害を、私たちはまだ経験していない。重要なインフラなどが被害に遭えば、想像もつかないような大きな社会的被害が発生するかもしれない▼だが、それは起きてしまってからではもう遅い。重要なインフラや施設、機関などは完全にネットから切り離して運用するなど、確固とした対策をとる時期が来ているのではないか。