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コラム・素領域

2021年5月21日号

素領域

新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が本格的に始まったが、各地で混乱が生じている。電話やネットで予約が取れないのは当たり前で、整理券を得ようと窓口に殺到し長蛇の列を作ったり、それが原因でトラブルも起こっている。ある自治体でスマホやPCの操作ができない高齢者向けに代行サービスを実施すると、それに便乗して予約を代行するといって個人情報を聞き出そうという詐欺電話がかかってきた事例もある▼効率よくワクチン接種を進めようと考えると、事前に何月何日何時にどこの会場で接種するので来てください、という通知を出すのが正しい。都合が悪い場合や接種を希望しない場合にのみ、電話やネットで連絡するようにすればよい。欠席の連絡が来ずに枠が空いた場合には、公的なエッセンシャルワーカーや役所の窓口職員が打てるような体制を作れば無駄もないだろう▼自ら接種を予約しなければならないようにしたことが、今回の混乱の根本的な原因だ。欧米では、ワクチンを打ちたくないという人々が一定数いて、日本でもネット上でワクチンに対する不安をあおるような書き込みが数多く存在した。こうした事例やネットの情報を政治や行政が国民の声だと勘違いして、予約制が導入された。しかし、ふたを開けてみれば、多くの高齢者をはじめとする国民は接種を希望していた▼日本学術会議の問題だけでなく、様々な政治的な場面でも、国民の声や国民の期待という言葉が飛び交っているが、本当にそれは多くの国民が望んでいることなのか、一部のネットの声を都合よく解釈しているだけではないのか。政治や行政は今一度、自ら問い直すべきであろう。

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