科学技術・学術政策研究所(NISTEP)の定点調査2025の調査結果を見ると、第6期科学技術・イノベーション基本計画で資金を投入したにも関わらず、大学の研究現場の状況が悪化したのではないかと批判を受けそうだ。第6期で大きく伸びた資金はグリーンイノベーション基金などの民間向け資金や経済安全保障関連の費用がほとんどで、大学ファンドの運用原資の一部はあるものの、大学現場に直接流れた資金量の増加は限られている▼例えば、博士後期課程学生の生活費を支援するSPRINGや、優秀な若手の挑戦をサポートする創発的研究支援事業などは6期に始まったものだが、数百億円の投資で研究現場は大きく活性化した。また国際卓越研究大学に採択され資金が投入された東北大学を含む第1グループは定点調査の多くの項目で評価が上昇した。適切な資金投入は現場を活性化させることの証左である▼世界経済の成長に伴い、各国の物価や人件費が増加してきたが、日本の大学・研究機関の基盤的経費・研究費規模は据え置きで、さらに円安、ウクライナやイランでの戦争などで物価上昇・円安を加速している。影響はすでに現場に出ており、このままでは研究現場は崩壊する可能性がある▼第7期基本計画期間中に、物価上昇相当分の基盤的経費や研究費規模の増加を行い、その上で重点分野の充実、大学の研究システム改革を進めるための戦略が必要だ。政治の強いリーダーシップと総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)等での具体的な戦略の検討などが求められている。
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