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コラム・素領域

2025年2月28日号

素領域

今、アメリカのトランプ大統領が世界を困惑させている。ウクライナとロシアの停戦協議、イスラエルとパレスチナの和平案発表、関税引き上げなど様々である▼強いアメリカを取り戻すためだというが、自国のことしか考えない理解困難な行動に思える。今の世界情勢、とりわけ市場開放やグローバリゼーションは、アメリカが力を入れて進めてきたことである▼アメリカ経済にかつてのような勢いがなくなったといっても、今でもコンピューターをはじめ、宇宙・航空、医療・創薬、エレクトロニクスなど、多くの科学技術分野で先頭を走っている▼GDPも中国の追い上げはあっても、いまだに世界1位である。しかし、そうして進めてきた市場開放やグローバリゼーションの波が、今は自国に対し逆流に働きつつあるのだろうか▼トランプ氏は荒唐無稽ともいえるような発言や行動をしている。地球温暖化問題ではパリ協定を無視して再度離脱した。貿易では大幅な関税引き上げを実行しようとしている。見栄を切ったパフォーマンスなのか理解が難しい▼こうして他国を無視するトランプ氏は、第二次大戦前の時代のごとく、他国を侵略して領土拡大をはかろうとしているロシアのプーチン大統領と、どれほど違うというのか▼第二次大戦後のアメリカは、かつて映画やテレビで見ていた西部劇のヒーローのような正義感を持っていた。人類は今、その存続に大きな影響を及ぼしかねない地球温暖化やAIといった、世界中が協力して取り組まなければ解決できない問題に直面している▼やはり、アメリカには世界を混乱させるのではなく、世界と協調し、こうしたグローバルな問題を解決するヒーロー役がふさわしい。

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