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コラム・素領域

2020年4月17日号

素領域

新型コロナウイルスに対抗するため、世界中の科学者や関係者が様々な取り組みを行っている。エルゼビアやシュプリンガーなどの数多くの出版社が、関連論文やインフォグラフィックスなどを無料公開し、bioRxivやmedExivなどのプレプリントサーバには毎日のように新しい論文がアップされている。これらは科学者コミュニティ全体の「知」を向上させている▼内閣府は新型コロナ対策×テック会議を開催。民間事業者の技術、サービス、情報等を活用して感染拡大を抑制する取り組みを始めようとしている。例えば、シンガポールのアプリ「トレーストゥギャザー」は、一定時間近くにいた人の感染がわかった時にメールで注意を呼びかけるものだが、この日本版をコード・フォー・ジャパンが開発中だ▼ただし、実際に社会実装するためには、個人情報に対する意識の違いなどを考慮した使い方や、通知された人が速やかに保健所で検査を受けられるような仕組みが必要だ。一方、産業技術総合研究所と杏林製薬の開発したマイクロ流路型PCR装置は最短5分で新型コロナウイルスを検出できる。例えば、アプリの実証試験地域の保健所にこのマイクロ流路PCRを導入すれば、注意喚起された人は速やかに検査を受けることができるが、両者を結びつけて最適設計するという話は聞こえない▼Gサイエンス学術会議共同声明では、情報共有や共同研究等の取り組むとともに、個別の制度的・政策的課題をエビデンスに基づいて分析し、政府に助言する、また市民に発信するとしている。しかし、日本では科学的助言を常に政策に活かすための仕組みがあまり機能していない。今回の危機を会社のIT化を進める好機としている企業も多いが、政府は科学的助言を活用する好機にすべきであろう。

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