科学技術の進歩に寄与し
豊かな社会発展に貢献する
唯一の専門紙です。
毎週金曜日発行

TOP > コラム・素領域一覧 > 2020年4月24日号

コラム・素領域

2020年4月24日号

素領域

新型コロナウイルスの感染防止を目的に、人との接触8割減を目指し、在宅勤務を含むテレワークが推奨されている▼政府は「働き方改革実行計画」でも柔軟な働き方がしやすい環境整備として、テレワーク等の導入を推奨してきたが、日本ではこれまで普及してこなかった。現在は様々な企業や組織でおそらく致し方なく導入されているが、これを機に課題等が明らかになることを期待したい。企業等ではテレワークにおける勤怠評価制度は未整備であるし、小さなお子さんがいる家庭では休園や休校が働き方そのものに影響を与えている。こうした状況を考慮して、簡単に無理という判断を下すのではなく、前向きな検討と環境整備が必要だと思う▼感染症の流行地から人が移動する、いわゆるコロナ疎開が問題になっているが、多くの人は他者との接触機会を減らしている。こうした急な環境変化は鬱を引き起こしやすいことが知られているが、近年、体内時計の変調と鬱など精神疾患との関連が指摘されている。特に環境要因が大きく関わる鬱については、日照時間が低下することで鬱を実験動物でも再現できる。また、この改善に有効な化合物等の探索も行われている▼平時でない状況下では、人は自身のストレスに気づきにくい。しかし、その影響は身体や行動に表れる。精神安定につながる脳のセロトニンの分泌は日光で促進され、その材料のトリプトファンはレバーやチーズ、青魚、魚卵、大豆製品、果物ではバナナに多いという。気が塞ぐと悪循環に陥りがちだ。創薬も期待されるが、まずは身近なところから取り組んではいかがだろうか。

  • facebook
  • twitter
  • Google +
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • Mail
THE SCIENCE NEWS
  • facebook
  • twitter
  • Google +
  • はてなブックマーク
  • LINE
  • 購読申込
  • メール