麻疹(はしか)の流行が拡大している。国立健康危機管理研究機構によれば2026年第16週(4月)までの累積報告数は362例で、昨年1年間の265例を超えた▼この病気は麻疹ウイルスによって引き起こされる急性の全身感染症で、空気感染、飛沫感染、接触感染でヒトからヒトへと感染する。感染力が非常に強く免疫を持っていない人が感染するとほぼ100%発症する。2回のワクチン接種で95%程度は免疫を獲得できるが発症すれば対症療法しかない▼周囲への感染可能期間は発症日の1日前から解熱後3日間を経過するまでで、発症前から感染力がある▼感染すると約10日後に発熱や咳、鼻水、目の充血といった風邪のような症状が現れる。2-3日発熱が続いた後に39度C以上の高熱と発疹が出現する。千人に1人程度の割合で脳炎を発症。先進国でも千人に1人が死亡する▼亜急性硬化性全脳炎(SSPE)は麻疹ウイルスによりゆっくり進行し、数年の潜伏期間を経て発症する難病だが、麻疹ワクチンの普及以降は減少し、現在では新たな発症者はほとんどいないという。なぜ潜伏期間が長いかはわかっていない▼かつて日本では麻疹の罹患率はもっと高かった。大流行した2001年の感染報告は約3万4千例で、実際の感染者はさらに多かったと推計されている。以降、国を挙げて対策に取り組んだ▼WHOによれば世界では2017年に11万人が死亡。そのほとんどが5歳未満の小児で、途上国では今でも頻繁に流行している。自然災害や紛争はワクチンの定期接種中断を引き起こし、感染リスクを増大させる▼2000年4月2日以降生まれなら2回の定期接種を受けている可能性が高いが、それ以前であれば1回もしくは0回かもしれない。自治体などで接種に対する補助や助成を設けているところもある。思い当たる方は追加接種をおすすめします。
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