最近、メタバースという言葉を多く聞いたり目にしたりするようになった。調べてみると、インターネット上に構築された３次元の仮想空間の世界のことである▼その仮想世界の中で、自分の分身であるアバターを操作し、現実の世界と同じように活動させることができる。他人のアバターと交流する。ゲームや買い物、観光などができ、土地を買って家を建てることもできる▼機器としてはゴーグルのようなヘッドマウントディスプレイを使用する。単にバーチャル空間を楽しむだけでなく、そこでの商談や買い物が現実の世界につながったりすることもある▼非常に魅力的な世界であり、インターネットの究極の姿とも言われているようだ。とはいえ、それはまさに現実の世界を仮想空間に再現することにもなり、現実世界が抱える様々な問題もその中に持ち込まれるだろう▼現状のインターネットでは、例えばＳＮＳで他人を中傷するなどの人権侵害問題が起きている。詐欺まがいの商品や違法な薬物、武器などの販売が行われ、偽サイトやフェイク情報もある。サイバー攻撃は大変な脅威だ。これらがメタバースの世界で行われたら、今の状況以上に大変なことになってしまうのではないか▼インターネットは確かに便利でビジネスや生活に有効な優れたツールである。しかし、それも利用の仕方次第である。現状では様々な問題を抱えており、うまい解決方法もなく問題は放置されたままである。利用者は高額なセキュリティソフトを使うなどの対策をしなければ、安心して利用できない。そうした状態でメタバースが発展・普及していけばどうなるのか心配だ▼まずは、現状のインターネットを安心・安全に使えるようにしてから、その先の世界に進んでほしい。