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コラム・素領域

2018年6月22日号

素領域

昨今、健康志向も手伝ってか、関連の器具やサプリメントなどがテレビなどのマスコミでひっきりなしに紹介されている▼そのような手段を利用しなくとも手っ取り早い健康法として昔から言われているのが「歩くこと」、歩行である。ただ、その効用に対する科学的根拠となると、過去にも研究論文が報告されてはいるのだが、信憑性は必ずしも高くない。その理由としては、自己申告に基づくデータが多いからだそうだ▼ところが最近、歩行頻度と健康への影響をとりまとめた新たな研究論文が発表されている。それによると、71歳の日本人高齢者419人を対象に、歩数計を利用し、7日間連続で歩数を測定、1日平均で4503歩未満から7972歩以上までを4つの集団に分け、死亡リスクを比較検討している▼平均約10年間追跡調査をしたところ、4503歩未満の集団と比較して、7972歩以上の集団では、死亡リスクが54%ほど低下したという。この値が統計学的にも有意であることが明らかなのは言うまでもない▼では、どんどん歩数を増やしていけばよいのだろうか。この論文では残念ながら、一定歩数を超えた後の歩数の増加と死亡リスクとの相関関係は示されていない。よく1日に1万歩は歩きなさいと言われるが、それだけ歩くことができれば健康であることに違いはない。やはり歩くことは健康維持には欠かせないことが示された▼これから暑い日々が続く季節。できるだけクーラーの効いた部屋に閉じこもるのではなく、朝夕の涼しい時間帯を見つけては歩くことをお勧めしたい。

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