広辞苑によると、会議とは「会合して評議すること。何かを決めるため集まって話し合うこと。その会合」と定義されている。第7期科学技術・イノベーション基本計画を策定するための会議が、内閣府に設置された基本計画専門調査会だが、どうも違和感がある▼メンバーは、総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の有識者議員と、京都大学の内田由紀子教授、中外製薬の大内香統括、豊橋技術科学大学の小野悠准教授、エムスクエア・ラボの加藤百合子CEO、東京大学の齊藤博英教授、東京大学の鈴木一人教授、東京大学の染谷隆夫教授、金沢工業大学の高橋真木子教授、キヤノンの田中朗子常務、東京大学の中須賀真一教授、政策研究大学院大学の林隆之教授、ANベンチャーパートナーの二見崇史パートナー、同志社大学の桝太一助教、レディーフォーの米良はるかCEO▼会議の様子を見ていると、各委員が発言すると、それに対して上山座長が答えるということを繰り返しており、各委員同士でのディスカッションが行われていない。どうもこのあたりに違和感の原因がありそうだ▼何かしら新しい政策を作るとき、有識者を集めて会議を行うのが現在の主要な方法だ。委員の多くは、初めての経験であるため、質問が多くなり、それに座長や事務局が答えるのは当然だが、意見に対しても座長が答えているため、各委員が他の委員の意見に反論する姿が見えない。まるでヒアリングをしているようだ▼多様なメンバーで侃々諤々議論をすると、まとめるのは非常に大変だが、その結果として事務局が思いつかなかったような新たな視点が生まれることがある。本物の会議を期待したい。
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