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コラム・素領域

2026年1月23日号

素領域

昨年8月に沖縄美ら島財団と東京大学などの研究グループは、沖縄本島東沖の水深約900㍍の深海で新種のサンゴ「リュウキュウサンゴ」を発見し、話題になった。いわゆる宝石サンゴの仲間で、サンゴ礁を形づくるものとは異なるグループに属し、生態も全く異なる▼造礁サンゴは主に褐虫藻と共生し、光合成で生きているが、宝石サンゴは主に光が届かない冷たい深海でプランクトンを餌に生きている。生殖様式も異なり、宝石サンゴは雌雄異体で幼生ではなく卵や精子を海中に放出することが、美ら島財団の研究で明らかになっている▼宝石サンゴは宝飾品等に加工されており、前述の新種サンゴも美しい桃色をしている。硬いことはともかく、色が美しいことは暗い海で自身の与り知るところではないだろう▼戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の「海洋安全保障プラットフォームの構築」の一環で、1月12日に地球深部探査船「ちきゅう」は静岡市の清水港を出港した▼この航海はレアアース泥採鉱システム接続試験を目的にしているが、採鉱による懸濁物の漏洩・拡散を抑止するため、海洋環境のモニタリングを実施する。これに千葉や東京の町工場とJAMSTECなどが連携して開発した海底設置型観測装置「江戸っ子1号COEDO」がカスタマイズされ使用される。この装置は市販され、「江戸っ子1号」は千葉市科学館にも展示されている▼今回の航海の目的は通常の深海探査とは異なる。それでも何か、素敵な生物の映像を捉えることができるのではないかと期待している。

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