5月5日の「こどもの日」に合わせ、総務省統計局が「我が国のこどもの数」を統計トピックスにまとめて5月4日に公表した▼そこに記されている数字は、日本の少子化の深刻さを改めて考えさせるものだ。全国の15歳未満の子供の数は今年4月1日現在で1401万人である。日本の総人口1億2400万人に占める割合は11・3%▼子供の数は43年も連続して減少。その割合は50年連続して低下を続けている。また、参考として人口4000万人以上の国における国別の子供の割合(国連の世界人口見通し:2023年)も示されている▼比べてみると、日本の11・3%は韓国の11・2%に次いで世界最低クラスだ。他はイタリア12・2%、ドイツ14・0%、中国16・8%、フランス17・0%、イギリス17・2%▼さらにロシア17・6%、米国17・7%で、主要国は総じて割合が低く少子化傾向にある。加えて、日本は65歳以上の高齢者の数が総人口に占める割合が世界一高く、世界で最も深刻な形で少子高齢化が同時進行している国である。同じく総務省統計局資料によれば、その高齢者人口の割合も、1950年の4・9%以降一貫して上昇し続けていて、2022年時点で29・1%に達している▼日本の総人口はすでに10年以上も減少が続いていて、2070年には8700万人まで減少する。国立社会保障・人口問題研究所が、そんな予測数字を昨年公表(「日本の将来推計人口:令和5年推計」)した▼いまの円安は日本経済の衰退を表すものだという懸念も聞かれる。長いトンネルに入ったまま、一向に再興の出口が見えてこない。敗戦後、見事に復興を遂げた日本国民のパワーも、少子高齢化で衰えてしまったのだろうか。
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