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コラム・素領域

2024年10月11日号

素領域

9月ごろから各県でドングリの豊凶調査結果が発表されている。クマの被害拡大の一因であるドングリの不作を予測することを目的に例年行われ、群馬県や兵庫県では今年は不作を発表。冬眠前のクマがエサを求めて人里に出没する恐れがあるとして注意を呼びかけている。特に兵庫県は14年ぶりの「大凶作」で、ツキノワグマの出没数が過去5年平均の2~4倍になると予測している▼ドングリはブナ科の果実の俗称で、ドングリという名前の植物は存在しない。森林総合研究所は東北地方で1980年から40年間にわたり種子トラップを使ってミズナラ(ブナ科コナラ属)の豊凶を調べるために結実状況の観測を実施。北海道大学と共同で気温上昇により豊作・凶作の周期が3~4年から2年へと短くなっていることを2000年に明らかにした。また森林総研は昨年、ドングリの豊凶と樹体内の炭素・窒素・リンの樹体内貯蔵量との関係を調べて、豊凶を左右する元素が樹種により異なることを明らかにし、不作の予測につながる可能性を示した▼東京にも多摩地区にツキノワグマは生息している。首都にクマが生息するのは世界でも珍しいという。東京のクマは東京都レッドリスト2023では南多摩で絶滅危惧Ⅱ類、西多摩で準絶滅危惧と評価。種の保存法では国際希少野生動植物種に指定されている。東京都環境局は東京都のツキノワグマ目撃等情報を地図上に表示した「TOKYOくまっぷ」を運用すると共に情報提供を募っている▼森のクマさんには出会いたくないが、健やかに過ごしてほしい。政府がもう少し資金を出せば、科学的に根拠のあるさらなる対策が生み出せると思う。

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