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コラム・素領域

2024年10月18日号

素領域

テレビや新聞などで連日のように報道されるイスラエルとパレスチナ・ガザ、ロシアとウクライナの紛争。大勢の一般市民が犠牲になり、街の建物などが破壊された悲惨な姿が放映され、激化している状況が伝わってくる▼自身も含めて、これを誰も止めない、止められないのを悔しい、情けないと思っている人は多いはずだ。なぜ世界が一致協力して紛争を止められないのか。世界の各地で、国や地域の対立が深まっているせいなのか▼6月末に国連経済社会局がまとめた「持続可能な開発目標(SDGs)レポート2024」では、世界の課題を解決するために定めた17の目標と169のターゲットについて、軌道に乗っているターゲットは5分の1に満たず、世界は約束を果たせなくなりつつあると報告している▼SDGsの進捗率として、軌道に乗っているターゲットは17%で、緩やかに進捗が18%、わずかに進捗が30%である。逆に停滞が18%、後退が17%だとしている。この数値は世界が約束を守っていないことを示している▼また、開発目標16「平和と公正をすべての人に」では、武力紛争による民間人の死傷者数が、23年に72%も増加したと報告している。さらに、深刻化する地球温暖化問題については、15年から21年にかけ、全体的な傾向として世界のCO2排出量が増え続けているとした▼このSDGsの報告からは、世界が一致協力して問題解決に取り組んでいない状況がうかがえる。いま世界の対立は深まり、国連の団結力は弱まっている。競争と協調で世界は発展してきたと思うが、いまは競争をひとまず休止し、協調に専念すべきだ▼そうでないと、世界平和も地球環境も崩壊して、人類の持続可能性はますます危うくなる。

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