情報通信の普及・振興を目的とする「情報通信月間」。今年のテーマは「デジタルで 変える社会が 未来を創る」だ。5月15日から6月15日までの期間中を中心に全国各地で180件の関連行事が開催される予定だ▼それらを通し、豊かで安心して暮らせる社会を築いていく上で大きな役割を果たす情報通信について、国民の理解を深めてもらう機会にするというのが趣旨である▼ところで、総務省はICT(情報通信技術)の利用者のリテラシーに関する認識や、インターネット上の偽・誤情報の拡散傾向の実態把握を目的に「ICTリテラシー実態調査」を行い、その結果を5月13日に公表した▼それによると、過去に流通した偽・誤情報を見聞きした人に対し、その内容の真偽をどう考えるかを質問したところ、それが「正しい情報だと思う」「おそらく正しい情報だと思う」と回答した割合が47・7%と半分近くもいた▼ICTリテラシーについて「自身のICTリテラシーが高いと思う」と回答した割合は35・2%と低かった。一方で、ICTリテラシーが「重要だと思う」「どちらかといえば重要だと思う」と回答した割合は87・8%と高かった▼にもかかわらず、75・3%はICTリテラシー向上に向けた具体的取り組みを「ほとんどしていない」「全くしていない」と回答した▼近年は、サイバー攻撃やネット詐欺などによる被害が拡大している。その背景にはあまりにも急速なICTの普及・発展に、利用する側のインテリジェンスが追い付いていないことがあるように思う▼「情報通信月間」のイベントでは、ICTリテラシーを高めるためのセミナーや講演会などのイベントもある。この機会に足を運んで耳を傾ける機会にしたい。
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