消防庁は消防機関、医療機関および都道府県の協力で平成20年から熱中症による救急搬送人員の調査を実施。今年は5月1日~9月30日までが予定されている▼週別推移では6月9日~6月15日は966人だったが、次週の16日~22日は8603人に増加。23日~29日には4千人台まで下がるも、6月30日~7月6日には1万48人に達し、そのうち8人が死亡している。この週の発生場所の内訳をみると住宅が40・8%、道路19・8%、公衆(屋外)10・9%と続く▼厚生労働省は熱中症の重篤化を防止するため、労働安全衛生規則を改正し、6月1日から労働者を雇用する全ての事業者に対し、労働者の熱中症対策を義務づけた。熱中症を生ずるおそれのある作業を行う際に、「熱中症の自覚症状がある作業者」「熱中症のおそれがある作業者を見つけた者」のいずれもが、その旨を報告するための体制を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に周知することなどが義務づけられた。対策を怠った事業者には6カ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性がある。WBGT(暑さ指数)28度または気温31度C以上の作業場で行われる作業を対象にしている▼神奈川県横須賀市は昨年4月に独自の熱中症予防ガイドラインを策定し、暑さ指数に応じた学校の対応を強化。今年5月からは市立の全中学と高校1校に、センサーで暑さ指数を自動計測してクラウド上に保存し、熱中症対策ができるシステムを導入した。屋内外の活動の可否判定が可能になり、子供たちの健康・安全につながることが期待されている▼熱中症による救急搬送人員の半数以上は高齢者が占めている。近年では高齢者の見守りサービスに住居の暑さ指数をセンサーで計測して警告する機能を導入する自治体もある。こうしたIoTによる取り組み拡大に期待したい。
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