今年のイグ・ノーベル賞授賞式が米国マサチューセッツ州のボストン大学で開催され、10の個人または研究グループが受賞した。同賞は「人を笑わせ、そして考えさせる」研究などに毎年贈られている▼日本で行われた研究は同賞の常連で、今年も「シマウマのようなしま模様を描いたウシが吸血性のサシバエ類に刺されないようにできるかを調べる実験を行った」ことで愛知県農業総合試験場畜産研究部の兒嶋朋貴氏(現在は農研機構畜産研究部門に所属)らと京都大学の大石風人氏らが共同で行った研究が受賞した▼実験では黒毛和種(全身が黒い品種)のウシにシマウマのように白でストライプを描いたウシと、黒でストライプを描いたウシ、何も描かないウシでサシバエ類に刺される頻度とウシが虫を追い払う動作が減るかを比較した。実験の結果、シマウマ模様のウシは刺される頻度が半分以下に減少し、虫を追い払う動作も減少。シマウマ柄に虫の吸血を防ぐ効果があることが確認された。論文は「PLos One」2019年10月3日付に掲載されている▼兒嶋氏らは授賞式でスピーチを行い、エリック・マスキン氏(2007年ノーベル経済学賞受賞)から賞品等が手渡された。ユーモアあふれるスピーチだったので、ご興味があればYouTubeでどうぞ▼来年1月には日本科学未来館(東京都江東区青海)でイグ・ノーベル賞の関連イベントの開催が予定されている。ノーベル賞の受賞者らも加えた研究者が登壇する。詳細は明らかになっていないが、例年事前申し込み制で日本科学未来館のwebサイトで参加を募っている。
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