高市早苗氏が第104代内閣総理大臣に選出され、日本初の女性首相誕生に世の中の期待感が高まっている。就任後の記者会見でも意気込みを感じる。その高市首相が初閣議で示した基本方針では「強い経済の実現」「地方を伸ばし、暮らしを守る」「外交力と防衛力の強化」を掲げた▼今の暮らしや未来への不安を希望に変え、強い経済を作る。世界が直面する課題に向き合い、世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す。日本と日本人の底力を信じてやまない者として、日本の未来を切り拓く責任を果たすべく、絶対にあきらめない決意をもって、国家国民のため、内閣の総力を挙げて、これらの政策を推し進めるという▼大変頼もしい内容だ。科学技術政策を扱う弊紙としては、「科学技術」という言葉をさらに強調してほしいと願う。強い経済や外交力などを実現していくための基盤は何かといえば、日本の場合は製造業を中心とした産業であり、それを支える土台としての科学技術である▼戦後、欧米に追いつけ追い越せとの気概で科学技術立国を目指して頑張り、世界第2位の経済大国にまで成長した日本の今の凋落ぶりの背景には科学技術力の陰りがある。逆に経済成長が著しい中国では習近平体制のもとで「科学技術自立自強」を掲げ、膨大な国家予算を投入して産業発展につなげようとしている▼日本が再び強くなり、世界の中で存在感を示していくには、科学技術の再興が欠かせない。高市内閣の政策の基盤にしっかりと科学技術を据えて、ゆるぎなく前進してほしい。
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