第7期科学技術・イノベーション基本計画では、どのような研究領域に重点がおかれるのか。先日開催された、基本計画専門調査会の下のワーキンググループでは、造船、航空・宇宙、サイバーセキュリティなど10の新興・基盤技術領域、AI・先端ロボット、量子、バイオ・ヘルスケア、フュージョンエネルギーなど6つの国家戦略技術領域が示された▼新興・基盤技術領域については、各府省の予算で柔軟に支援していき、国家戦略技術領域では、政府一体となって、人材育成からスタートアップ支援、国際連携まで一気通貫で、CSTIが司令塔となって各省庁と連携しながら支援していく。国家戦略技術領域に指定されれば、予算だけでなく、規制や税制なども含めて大きな支援が得られる▼これまでの基本計画では1~4期までは重点分野を特定し、予算を重点化してきた。その結果、例えば、ライフサイエンス分野の予算は大きく増加し、原子力分野などは大きく減った。5~6期はAI、量子、フュージョン、マテリアルなど、重要な領域については国家戦略を策定するなどして取り組んできた▼6つの国家戦略技術領域は、将来性、革新性・有望性、日本の優位性・潜在性という観点で選ばれたというが、6期中に重視してきた分野の延長線上であり、新たな分野はない。世界的にも重要な分野だが、それは競争が激しいことと同義だ。各国と同じ土俵で戦うのではなく、新たに生まれてきた芽を育て、大きく花開かせることも大切だ。7期には、そうした余裕を期待したい。
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