今年最後の号となりました。読者の皆さまには、来年が良い年となるよう祈念しております▼今年はクマのニュースが全国的に話題になり、日本漢字能力検定協会が発表した今年の漢字は「熊」になりました。クマによる被害は、地球温暖化による植生の変化や耕作放棄地拡大に伴う里山の減少など、様々な要因が考えられています。こうした状況だからこそ、フィールドワークを含む地道な研究活動がますます重要になると思います▼一般公募で選ばれる「今年の漢字」は、ベスト10を見ると「高」「変」「女」「新」「初」といった、女性初の総理大臣に選ばれた高市早苗氏に関連する漢字がノミネートされています。新首相は社会に大きな変化をもたらすのではないかと、非常に高い期待が寄せられています▼「脈」「万」といった大阪・関西万博に関するものもあります。準備期間中は、多くのメディアや政治家などが、失敗するのではないかというマイナスの情報を発信していましたが、蓋を開けてみれば日本の科学技術力の高さをアピールし、経済的にも成功裏に終えることができました▼SNSの進化によって多くの人が情報発信できるようになりましたが、一方で偽情報や誤情報、さらには誰かをおとしめる発信も多く見受けられるようになりました。安定した社会に住む人間は危機情報に対して敏感で、安心情報には無関心になりがちです。大切なのは、危機を演出したり社会を分断したりする情報に振り回されないことです。AIの活用も含め、来年は悪意の少ない年になりますように。
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