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コラム・素領域

2018年3月16日号

素領域

92年前の3月16日。ロバート・ゴダードが液体燃料ロケットの打ち上げに成功した。細やかなコントロールができる液体燃料ロケット技術は日本の基幹ロケットにも採用されており、現代の宇宙開発に欠かせないツールだ▼先月、米国のスペースXが大型ロケット「ファルコンヘビー」の打ち上げに成功。搭載品の赤い電気自動車は太陽周回軌道に投入された。新型ロケットはその高い輸送能から、今後の宇宙探査に活用されていく可能性がある。ISEF2でも確認されたように各国が協力して月や火星等の探査を進め、再び人類が他天体に向かうことになる▼日本では、金井宇宙飛行士ら3人の宇宙飛行士が選抜されてから約10年が経とうとしている。米国は2025年以降は国際宇宙ステーション(ISS)の運用を徐々に民間に任せていく方針を示した。JAXAの奥村直樹理事長は宇宙飛行士の新規採用について「将来、ISSの民営化が具体的になってきてから新規採用を判断したい」と語った▼消極的な採用姿勢の理由は、日本が独自の有人宇宙活動・探査計画を持っていないことが大きいと思われる。有人宇宙船を保有していないことも要因の1つではあるが、ISS計画開始当初は困難と思われていた無人の物資補給船(HTV)の開発に日本は成功している。宇宙に進出するための力は着実に付けている▼国際協調がうたわれている宇宙探査でも他国の動向を見ないと、これから必要となるであろう有人に関連する宇宙技術の継承(宇宙飛行士の新規採用)を決定できないことは心細い。一度なくした技術は信頼と同じように取り戻すことは難しい。これまでの歴史が語っている。

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