科学技術の進歩に寄与し
豊かな社会発展に貢献する
唯一の専門紙です。
毎週金曜日発行

TOP > コラム・素領域一覧 > 2026年3月20日号

コラム・素領域

2026年3月20日号

素領域

現在、創薬にAI(人工知能)を用いる取り組みが進展している。先日開かれた内閣府の医薬品開発協議会では、中外製薬の太田淳研究本部モダリティ基盤研究部長、京都大学大学院医学研究科(理研計算科学研究センター)の奥野恭史教授、国立がん研究センター中央病院国際開発部門の中村健一部門長が、創薬におけるAI活用の取り組みを紹介した▼中外製薬では、抗体配列探索にAIを活用し、複数の活性を持つ抗体をデザイン、ラボのオートメーション化とあわせ、効率よく合成。国立がん研究センターでは、AIを活用することで治験関連文書を自動作成。京大・理研では、AIとシミュレーション技術を互いに連結・連動させ、創薬プロセス全体の予測と自動化を目指す創薬DXプラットフォームを構築している▼AIを活用した創薬や創薬支援を可能にしたのは、AIそのものの進化もあるが、タンパク質やアミノ酸の構造や機能の解析、遺伝子変異と疾患との関連解明など、数多くの基礎研究の知見が蓄積されてきたことが大きく貢献している▼一方、創薬にAIを用いるとき、臨床に近ければ近いほど、化合物探索レベルでの精緻化や高度化は難しくなる。世の中には多くの医療情報(電子カルテや投薬情報、PHRなど)があるが、それらを持っている組織は病院・個人・保険組合など別々で、保存している形式や書式もバラバラであり、さらに国によっても異なる。高度な創薬AIを構築できれば、競争力にもつながるが、そのためには基盤となるデータの標準化と同時に過去データのクリーニングなど、地味だが大切な取り組みを進めなければならない。いずれにしろ、基礎・基盤こそが重要だ。

  • facebook
  • X
  • LINE
THE SCIENCE NEWS
  • facebook
  • x
  • LINE