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コラム・素領域

2017年8月25日号

素領域

国連合同エイズ計画(UNAIDS)の報告によれば2016年の世界のHIV(ヒト免疫不全ウイルス)陽性者数は約3670万人、そのうち53%が抗HIV治療を受けている。日本では厚生労働省エイズ動向委員会が2015年の日本における新規HIV感染を1006件、新規AIDS患者を423件と報告し、15年末までの累計は約2・5万人(血液凝固因子製剤による感染者を除く)となった▼HIVはヒトの免疫細胞に感染し、無治療であれば命に関わるが、医療の進展により数々の抗HIV薬が開発され、この服用により健常者と同様の生活を営めるようになった。最近では東京医科歯科大学の研究グループが、感染に必須のヒト側のタンパク質を初めて特定し、新たな治療薬開発の可能性を示した。従来の薬剤はウイルスに作用するものだった。いずれにせよ薬剤の服用は一生続ける必要があり、副作用や耐性ウイルスの出現など課題は多い。ワクチン開発も進められているが、HIVの変化しやすい特性が開発を困難にしている▼日本におけるHIVの感染経路は多くが同性間の性的接触によるためその特性ばかりが注目され多分の偏見があるが、異性間の性的接触による新規感染も年間200人程度を維持して減少しない事実がある。そもそも日本では医療へのアクセスにそれほどの困難はないにも関わらず、他の性感染症も克服できていない。梅毒は近年増加傾向をみせている。問題は当事者意識の欠如ではなく、性教育の不足に行き着くのではないのだろうか。

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