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コラム・素領域

2017年7月7日号

素領域

AI(人工知能)の技術発展が急速に進み、深層学習に基づく応用なども盛んで、様々な実用化が進んでいる。情報通信研究機構(NICT)が開発した、ニューラル機械翻訳(NMT)もその一つである▼これは、脳の神経回路を模したニューラルネットワークを用いた自動翻訳技術で、膨大な対訳データを使って学習したニューラルネットワークを使って翻訳する▼この技術は、従来の統計翻訳(SMT)技術よりも翻訳精度が大幅に改善されているのが特徴であり、NICTが開発して公開しているスマホ用の音声翻訳アプリ「VoiceTra(ボイストラ)」に組み込まれている▼このアプリは、Web上の「VoiceTra」(http://voicetra.nict.go.jp/index.html)から無料でダウンロードして、誰でも利用できる▼先日、NICTは翻訳精度を一層改善した「VoiceTra」を公開したが、9割前後の翻訳精度を達成しているというからすごい。これも、膨大な対訳文を学習することができるAIの進化の成果である▼ところで、進化が著しいこのAI技術を社会実装する応用例として、ATM(現金自動預払機)への活用による、振り込め詐欺防止対策というのはどうだろうか▼65歳以上の高齢者がATMを使って、ある一定額以上の大金を引き出そうとした際に、ATMと接続されたAIがこれを監視し、その高齢者とAIが対話して、振り込め詐欺でないか家族などに再確認するよう求めたりし、被害防止につなげるという活用である▼AIに多くの振り込め詐欺症例を学習させて監視させれば、現金を引き出そうとする高齢者との対話から、これは怪しいという判断をすることができるのではないか。これを、AIとつながったロボットにさせる方法も考えられる。

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