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コラム・素領域

2017年6月23日号

素領域

多摩六都科学館は先日、東京大学大学院農学生命科学研究科附属生態調和農学機構と相互協力協定を締結した。機構は同大学の近隣の附属農場、附属演習林等を含み2010年に教育研究施設として改組し設立された。両者の最寄り駅は共に西武新宿線の田無駅である▼同科学館は昨年、年間来館者数が25万人を超え、過去最高となった。古いデータだが、文部科学省の科学技術・学術政策研究所が07年に発表した「科学館・博物館の特色ある取組みに関する調査」によると、年間来場者数が10万人以上の全国の科学館等は全体の35%であり、取り組みは一定の成果をあげているといえる▼その中でも同科学館は、高性能のプラネタリウムを備え、子ども向けの各種体験学習プログラムが日常的に行われている。以前から機構と連携して演習林や農場を利用したサマースクールや大人を対象とする体験学習会などが以前から行われてきた▼科学館をはじめとする博物館には、重要な機能として生涯学習の場・機会の提供がある。政府は子どもの理科離れを防ぐ取り組みを展開し、一定の成果をあげている。一方、困難さは理解できるが、大人の科学リテラシー向上を目指す取り組みは少なく、地域格差も大きい。我々の周囲に科学・技術はあふれ、利用しているにも関わらず、その内容を知る機会は少なく、結果として多くの人がニセ科学に疑問ももたないということは恐ろしいことであり、不幸なことだ▼誤解を起因とした教育・研究に対する無理解には様々な要因があるが、こうしたこともその一つかもしれない。

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