海外留学や研究継続を断念するといった事例が少なくない▼こうした問題は、以前から指摘されてきたことだが、政府の審議会等を見ると、そこに参加している多くの研究者は自らや家族の力でこうした問題を克服してきた経験を持つため、国内の若手研究者について支援を行うことについては議論が行われ支援制度が検討されることはあっても、海外留学について家族問題も含めて真剣に議論することは少ない。しかし、この20年間で人口構造は大きく変化しており、65歳以上の割合は28・1%まで上昇し、少子化も進んでいる▼このNPOでは19年、海外在住の研究者家族が直面する出産や医療、ビザ、引っ越し、キャリアプラン、子供の教育などの課題解決に役立つ情報プラットフォームを立ち上げ、今回さらに助成制度を始めた。多くの思いで活動が行われているが、規模は小さなものだ。政府は、民間企業から効率化・合理化を見習うだけでなく、こうした取り組みを支援または自ら行うべきだ。
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