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コラム・素領域

2020年4月3日号

素領域

2004年に起きたスマトラ沖の大地震、そして2011年の東日本大震災は、そう簡単に記憶から消え去るものではない。特に強烈な思いとして残っているのが津波であろう▼あの大きな水の塊が怪物のように押し寄せ、人、建物、あらゆるものを呑み込んでしまう姿。まさに恐怖そのものである。地震と津波が直結していることが、改めて頭に焼き付けられた▼さらに厄介なのは、津波にはいろいろなタイプがあることだ。なんの前触れもなく襲ってくることもあるそうだ。実際、インドネシア・ジャワ島で2018年12月、人気バンドが演奏中の会場を突然津波が襲い、演奏者や観客に犠牲者を出した▼地震によって海底が上下運動を起こし、その変動で発生する津波は、すでに気象庁等で整備したデータベースにより、地震を検知して即座に警報を発令するシステムができ上がっている。警報が困難な地震としては、まず、地震により発生した海底地すべりによる津波。海底火山の噴火によって起こる海底噴火津波。そして火山が噴火し山体が崩れ、流れ込んだ土砂によって引き起こされる津波がある。これらの津波は、いつ発生し、襲ってくるかがなかなかつかみづらいという▼日本でも、地震の揺れ自体による直接的な被害はなかったにもかかわらず、実際に巨大な津波が起きていることが確認されている。なぜ警報を出しにくいのかについては、こうして起こる津波に関する研究が進んでいない現状があげられる。現在では、火山の監視、潮位の変化によって津波が発生したら即座に警報を出すことを想定しているそうだ▼とにかく、海岸では地震はもちろんのこと、何か異常を感じたならば、高台へ逃げることが最善の策といえよう。

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