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コラム・素領域

2020年7月3日号


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最近の調査研究によると、65歳以上で認知症を患っている人の数は、現在17・5%、それが5年後の2025年には20・0%、つまり5人に1人が罹患するという予測が出されている▼認知症は、医療費の高騰を招くなど国にとっても大きな社会問題となることが懸念されるだけに、予防は切実な課題となっている。それに関連して注目されているのが脳神経細胞の発生・維持・再生を促進する脳由来の神経栄養タンパク質「BDNF」である▼このタンパク質は、記憶の中枢を担う脳の海馬に多く発現するほかに、血液中にも存在する。BDNF濃度が高ければ高いほど記憶力や学習能力などが高く、認知能力と相関があることが研究で明らかになっている。ただBDNF濃度は、年齢が65歳を超えると低下してくる。認知症や鬱によっても値が大きく下がる。「脳の栄養素」とも言うべきBDNFの量をいかに維持していくかが認知症予防の鍵となるのだ▼これまで適度な運動により増加することは指摘されている。チーズ好きの人にちょっとした朗報になるかもしれない研究成果も出ている。白カビ発酵チーズ(カマンベールチーズ)の摂取が海馬のBDNFの増加に関与している可能性があることが示唆されたのだ▼これまではマウスによって検証されていたものが、このほど日本の大学・研究機関・企業の共同研究によって人でも確認された。認知症の予防に有効とされているのが「早期発見と対策」「運動」「栄養」の3要素。これらは生活習慣と深くかかわり、どれが欠けてもうまくいかない▼こうした研究成果も活かしながら着実に予防に結びつけていくことが肝要だ。

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