コラム・素領域
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いまだに先の見えない新型コロナウイルスのパンデミック。先進各国でワクチンの開発競争が盛んだが、過去にない急ピッチでの開発には安全性を危ぶむ声も多い▼日本でも、今年の冬はインフルエンザと、それまでに開発できれば新型コロナの両方のワクチン接種を実施するような話を国はしているが、本当にそうなる可能性はどうなのか▼医療機関の現場の医師に聞いてみたら、ありえないだろうという答えが返ってきた。ワクチン開発は2年も3年もかけて効果と安全性をきちんと検証したうえで実施する▼それが医療現場の認識であり、まずは安全性が第一なのである。そうしたら、9月8日にアストラゼネカなど製薬大手9社が共同声明を発信した▼新型コロナウイルスのワクチン開発では、人への安全性検証を最優先にするという宣言である。万が一にも薬害が発生すれば、被害者は大変な苦しみを受ける▼あってはならないことで、それは過去の経験から製薬企業は十分認識しているはずだ▼その製薬企業が宣言したのだから、安全性の検証は最重要で無視できないことなのである。米国のトランプ大統領が大統領選を前に、年内や来春までのワクチン提供実現を強調するが、科学を過信するのはどうだろうか▼この問題は、元はと言えばワクチン開発そのものが、世界の国や大手製薬企業による開発競争になっていること自体にあるのではないか▼未知の新型コロナウイルスは手ごわくて大変な脅威だ。世界中の人が有効なワクチンや治療薬の一日も早い実現を望んでいる▼しかし、その早道は市場を争うような競争にはなく、グローバルに協力し合い、情報を交換・共有し、一丸となって開発する「協創」や「共創」にあるのではないか▼世界各国のリーダーたちは、その道を進んでほしい。
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