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コラム・素領域

2020年10月9日号

素領域

今年の夏も暑かった。コロナ禍でマスク着用が当たり前になり、熱中症の危険性が高まったこともあり、改めて水のありがたみを認識した人も多いことだろう▼人間が水なしでは生きていけないのを前提としたうえで、「水は健康によい」と言われることもあるが本当はどうなのであろう。「水分摂取による健康増進効果の検討」に関する民間機関の研究成果が発表された。研究では、日本人の50歳以上75歳未満の男女に、朝起床後2時間以内にペットボトル約1本分(550㍉㍑)を、また就寝前の2時間以内にやはりペットボトル1本分の水を12週間にわたり継続摂取してもらった▼その結果、確かに健康促進効果が認められたという。効果の最たるものは血圧低下である。起床後と就寝前2時間以内に水分摂取したグループでは、4週目には収縮期血圧が約4・0㎜Hg低下し、8週目に約6・0、12週目には約7・0と経時的に低下した。なぜ低下したのかについて、専門家は、腎臓の負担軽減や機能の改善をあげている▼腎臓は血圧を一定に保って体内循環を維持する働きを持っている。継続的な水分摂取によって血液中の老廃物が薄められて腎臓の負担が軽くなったわけだ。それにともなう効果として血液中の老廃物を表す指標である尿素窒素の数値が低下。さらに血液のサラサラ度の指標であるヘマトクリットの値も低下した。ただ腎機能が低下している人は、水分摂取が増えるとかえって腎臓に負担がかかるので要注意だ▼人間には1日に2・5㍑の水が必要とされ、食べ物などからの摂取を除けば毎日1・2㍑の水分補給は欠かせない。水分摂取による健康効果が示されただけに試してみてはいかがだろうか。

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