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コラム・素領域

2021年1月22日号

素領域

コロナ禍の困難な時代にこそ、創業期のベンチャーが大きく成長するチャンス。「京大創業者応援ファンド(仮称)」創設の発表記者会見で、京都エンジェルファンドの山本康正社長は話した▼ベンチャー白書によると、2018年のベンチャーキャピタル投資は、米国14兆4573億円、欧州1兆861億円、中国3兆5370億円、日本2778億円と、日本のVC投資は極端に低い。このうち創業期投資は、米国1兆3000億円に対して、日本は560億円▼リーマンショックで世界経済は大きな影響を受けたが、その時に創業したベンチャーで生き残ったAirbnbやUberなどは時価総額10兆円にまで成長しており、経済的ショックがあった時に創業するベンチャーは大きく成長する可能性があると、山本氏は指摘する▼創業ファンドは、京大の学生やOBなどを対象に、1件あたり200~500万円を創業初期やアイデアの段階で投資する。東京には既にベンチャー起業家のネットワークが数多くあるが、関西では少ない。そこで、投資だけでなく、創業者の様々な相談にのることで新しい挑戦を応援していく。多くのベンチャー創業者が、先輩に相談していれば簡単に解決できた課題は多かったと話す▼京大のように大学発ベンチャーの数が一定数を超える大学であれば、ネットワークやファンドをOBが立ち上げることもできるが、多くの大学にはそこまでの実績はない。また東京周辺地域であれば、出身大学とは関係なく、そうしたネットワークに入ることは難しくない▼地方の金融機関や大学なども創業支援の取り組みを進めているものの、創業経験のあるOBから気軽にアドバイスを受けたり、悩みを相談するということとは少し違う。政府には、こうしたネットワークの構築など、地方大学発ベンチャーを支援する取り組みが求められている。

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