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コラム・素領域

2022年4月8日号

素領域

騒音と雑音。意味が似ているふたつの言葉だが、そのとらえ方として共通する認識は「うるさく、不愉快な音」となるだろう▼この好ましからざる音に関して科学的に興味深い研究成果が出されている。騒音についてだが、ヨーロッパの大学の研究で、騒音の大きい場所に住んでいる人は、相対的に体脂肪の量が多くなり太りやすくなるという結果が出た。騒音による刺激を受けると、ストレスによってストレスホルモンのコルチゾールが増えることで、食欲が増し、睡眠の質の低下をもたらす。それが太りやすくなる原因となるようだ▼女性は特に気になるだろうが、騒音が5デシベル上がるとウエストが約1・51㌢アップするというデータも示されている。またコルチゾールの過剰な分泌は、論理分析に関与する脳の前頭前野の働きも阻害するそうだ。一方、雑音となると少し異なる。アメリカの大学の研究によれば、比較的静かな環境(50デシベル、書店内など)よりも、70デシベル程度の環境の方が創造性を発揮する仕事には向いているとの結果が出ている▼筆者が駆け出しの頃、大先輩の記者がよくジャズ喫茶で原稿を書いていたのを思い出す。「よくこんなところで書けますね」と言ったものだが、人によっては適度な音となるようだ。耳にはいろいろな雑音が入るが、感覚情報はチャンネルの開閉によって、自動的に取捨選択される。ただ取捨選択の際、漏れが多い人は、広い範囲から雑音を含めた情報を拾い、結果的にそれらを結合することで雑音をあまり気にせずに仕事ができることになる▼世の中、騒音や雑音にあふれている。うまく付き合い生活の向上を目指してほしい。

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