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コラム・素領域

2022年4月22日号

素領域

日本の人口の80%が新型コロナのmRNAワクチンを2回接種しており、国内外の臨床データからも、一定の感染防止効果と重症化予防効果が確認されているにも関わらず、いまだに、ワクチンは危険だから打つのはやめよう、といって駅前で主張している人々や街宣車のようなものを見る▼彼らの主張を聞いてみると「○○先生(医師)が言っていた」「とにかく怖い」といった情緒的なものが多く、論拠は非常に弱い。また「安全性が証明されていない」と言うが、ワクチンであれ薬であれ、誰にでも完全に安全なものは、全く効果がないのと等しい▼日本ではかつて、子宮頸がんワクチンの接種をめぐって、副反応が強かった子供に焦点をあてた情緒的な報道が数多くなされ、その結果、ワクチン接種の定期接種が中止になり、さらに積極的勧奨も中止されてしまった。今年4月から個別勧奨を再開したが、日本の接種率は世界でも非常に低い。その結果、公的接種を行っている100カ国では子宮頸がんの発症率が落ちているのに、日本では増加し、そして人々の命を奪っている。今後数年間は、この傾向は強まるだろう▼ワクチンを打つ打たないは個人の自由だが、その前提となる科学的な知識がなければ正しい判断はできない。間違った情報や偏った情報は、人の命を奪うことにもつながりかねない▼今週は科学技術週間だ。特にこの週末は様々なイベントが各大学や研究機関、科学館等で開催され、多くの子供たちが科学に触れ、学ぶことだろう。だが、本当に必要なことは大人も含めた社会全体の科学リテラシーを向上させることだ。社会システム全体で取り組む必要があるだろう。

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