文部科学省は今年2月に初等中等教育段階の教育政策の改革方針を示すものとして「教育進化のための改革ビジョン」を公表した。コロナ禍を契機とした生活様式の変化とICT機器の利用による価値創造的な学びの提供による誰一人取り残さず個々の可能性を最大限に引き出す教育と、教職員の本務に集中できる環境整備の2つを基本理念としている▼多くの課題は予算の補充で解決できそうではあるが、これまで初等中等教育への投資は軽視されがちだった。それを考え直すいい機会になると期待したい。これら取り組みは大学の機能強化、学びの支援、リカレント教育の推進と連動して検討するとしている▼ビジョンは目指すべき将来像を意味し、国立大学でも今年度から始まった第4期中期目標期間に向けて、政府が示した国立大学改革方針に基づきこの方向性として大学ビジョンが策定されている。例えば茨城大学の「イバダイ・ビジョン2030」、「大分大学ビジョン2040」、大阪大学の「OUマスタープラン2027」、九州大学の「Kyushu University VISION 2030」、千葉大学の「Chiba University Aspirations」、「筑波大学Vision 2030」、東京大学の「UTokyo Compass」、長崎大学の「プラネタリーヘルス」、「新潟大学将来ビジョン2030」、「琉球大学の中期将来ビジョン」、「琉球大学の中期将来ビジョン」などがある▼困難な変革の時代に、各大学は特色あるビジョンで今後取り組む挑戦や展望を表現している。これら新たな大学の努力や社会貢献を今後も応援したい。
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