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コラム・素領域

2022年8月19日号

素領域

今年も猛暑の夏が来て、8月15日の終戦の日を迎えた。長引くロシアのウクライナ侵略戦争、台湾を包囲した中国の実践さながらの軍事演習という緊迫した世界情勢の中、今年は何か不安を感じる中での一日だった▼その日の前後には、過去の日本の侵略戦争を反省する記事や番組が、ウクライナ侵略と重ねるように新聞やTVで報道された。どうして人は戦争でなく、話し合いで解決できないのか▼悲惨な出来事を繰り返すたびに人々はそう問うてきた。しかし、21世紀に入った今日でも紛争は絶えていない。国民と、その集合体である国家とは思いが異なるのか。国を動かす為政者の責任なのか、そうした為政者を選んだ国民の責任なのか。両方の責任なのか▼しかける国が悪いのか。しかけられる国に問題があるのか。ほかに何か原因があるのか。いろいろと考えてみても、納得できる答えは得られそうにない。そんなことを考えていた時、8月6日の広島市の平和記念式典で広島市長が行った「平和宣言」を目にした▼その中で引用されていた、ロシアの文豪トルストイの言葉「他人の不幸の上に自分の幸福を築いてはならない。他人の幸福の中にこそ自分の幸福もある」が、スッと心の中に入ってきた▼この気持ちがあれば、人は武力による悲惨な戦争を回避できる。国同士だけではない、身近な日常生活や経済活動においても、人や企業が行き過ぎた競争や争いをせずに済むようになるだろう▼平和宣言通り、人は今、改めてトルストイの言葉をかみ締めるべきだ。そして、それを実行することで不幸な事態を避けるべきだ。特に今は、ロシアのプーチン大統領と中国の習近平国家主席にかみ締めてもらいたい。

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