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コラム・素領域

2022年12月2日号

素領域

日本には、マネジメント人材のプロフェッショナルが少ない。こうした問題意識から始まった研究開発マネージャーの公募は、1機関(JST)の小さな一歩でしかないが、長期的に見れば、アカデミアにおける大きな一歩になるかもしれない▼研究者としての能力とマネジメント能力は異なるにも関わらず、日本の大学では研究者が学長などを務めている。もちろん、両方の能力を兼ね備えている人物もいるため、必ずしも大学経営ができないわけではないが、一流の研究者には研究に専念してもらった方が、より効率的だろう▼研究開発マネージャー公募の発表の際、何人かの記者から本当にDARPAのPMのような仕事ができるのか、という質問があった。もちろん、すぐにできるわけがない。経験を積んで、ネットワークを構築し、政策を理解した上で、それを活用できる能力を獲得した人だけが、そうした仕事をなすことができるだろう▼人というのは、課題を与えられると最適な道を進もうとするし、人にもそれを求める。一見無駄のない選択は、短兵急にことを推し進めたり、間違った評価をしたり、突発的な自体に対処できなくなったりする▼文科省からJSTに出向して、ERATOなどの事業を担当した元役人の一人は「このときの経験が、行政官としての大きな指針の一つになった」と話す。マネジメント人材に向いているかどうかは実践の中でしかわからない。そうした経験を多くの若手が経験することで、様々な分野のマネジメント人材が育成されることを期待したい。

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