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コラム・素領域

2023年1月13日号

素領域

今年の干支は卯。日本では古くからウサギは身近で古い童謡によく登場し、日本最古の書物「古事記」にも因幡の白兎がでてくる。三内丸山遺跡の縄文時代前期中頃(約5500年前)のごみ捨て場からはノウサギの骨が多くみつかっている▼日本には数種類のウサギが野生で生息しているが、環境省のレッドリスト2020ではニホンノウサギの一種であるエゾノウサギとエゾナキウサギは準絶滅危惧、アマミノクロウサギは絶滅危惧IB類に区分。21年4月公表された東京都レッドリスト2020年版ではニホンノウサギは23区でDD(情報不足)、北多摩区分では絶滅危惧Ⅱ類、南・西多摩区分では生息確認にとどまる▼一方でペットや家畜として飼育されてきた外来種が放棄されて増加し、生態系に被害を及ぼすことが問題になっている。環境省は生態系被害防止外来種リストの重点対策外来種にカイウサギ(アナウサギ)を指定。カイウサギは16世紀に日本に最初に輸入され、現在島嶼などで問題になっている。石川県輪島市の離島の大島では1984年頃に持ち込まれたカイウサギが増加して植生を破壊し、被害を食い止めるために約30年間にわたり駆除や植生復元に取り組み19年に根絶に至った▼ペット保険のアニコム損害保険の調査によれば同社の保険に契約しているウサギは16年度以降、年平均145%で増加し20年度に2万頭を超えた。大事にされているから保険加入が増えたともとれるが、捨てウサギも増加していると聞く。注目を契機に正しい飼育の広まりを願っている。

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